知ってほしい!矯正治療のデメリットとその対策について
2023.05.14麹町駅すぐの歯医者 麹町デンタルクリニック院長の西澤です。
私はインビザライン公認歯科医師であり、年間で複数のマウスピース矯正の症例を対応しています。
このブログをご覧になっている方の多くは、矯正治療を検討されている方もいらっしゃると思います。
治療をはじめてから、「こんなはずではなかった!」とならないように、デメリットについてもしっかりと把握しておくことが重要です。
マウスピース矯正やブラケット矯正など矯正治療全般に言えることですが、治療をおこなう際には、歯茎について問題が発生する場合があります。
たとえば、以下のケースが散見されます。
・歯茎からの出血や歯茎の腫れ
・歯茎周辺がしみてしまう
・治療前とくらべ、歯茎が下がってしまった
これらは事前に認識しておくことで、対策をたてることができます。
今回は歯茎トラブルについてお話していきます。
■トラブル① 歯茎からの出血
矯正治療をすると一般的には、歯磨きのしづらさがあり、汚れは溜まりやすくなります。
インビザラインのようなマウスピース矯正は取り外しができるため、歯磨きがしにくいということがないですが、
意識的にセルフケアをしないと同様のリスクが発生します。
お口の中に汚れが溜まると、プラークと呼ばれる歯垢が歯の周辺に蓄積していきます。
これが原因で歯茎の炎症・出血となるのです。
・歯茎の出血対策
対策は非常にシンプルです。答えは歯磨きでの汚れを落としきることです。
これができていれば、出血はおこりません。
ですが、適切におこなわれないと効果はみこめません。
適切に行うポイントは以下の2点です。
・正しい磨き方
・適切に磨く時間
具体的なやり方については、個人差があるため、くわしくは担当の歯科医師や歯科衛生士に確認いただきたいのですが、
これらが徹底されることで、トラブルはおこらなくなるでしょう。
これらのリスクは、ブラケット矯正・マウスピース矯正など、矯正治療の違いでも変わってきます。それぞれの違いについては、以下を御覧ください。
■トラブル②歯茎の腫れや痛み
矯正治療をおこなっていく中で、歯茎の腫れも発生しやすくなります。
これも要因は出血同様に汚れが根本原因になります。
歯茎の腫れは、炎症・出血・腫れという順番に発生するため、出血している状態を放置してしまうことで発生します。
出血の時点で早めにケア見直しをおこない、未然に防止していくことが重要です。
また、前提のお話として理解して頂きたいことがあります。
それは、「歯周病」についてです。
矯正治療の開始前に歯周病のリスクがないのか?について確認しておくこともポイントです。
そのため、歯周病検査を必ずおこない問題がある場合には、歯周病治療をおこなった上で矯正をはじめていくことになります。
関連論文
・歯茎の腫れ対策
出血同様に歯ブラシがもっとも効果的な対策です。
さきほどもお伝えした通り、出血後に腫れ・痛みが発生してくるため、進行している可能性が高いです。歯ブラシももちろんですが、自宅でのケアだけではできない歯石除去なども必要な場合もあるため、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアをおこなっていきます。
痛みなどがある場合には、腫れをひかせる為に抗生剤を投薬した上で対応していきます。
歯周病がある内に矯正治療で歯を動かすと症状が悪化し、炎症が広がっていくリスクがあります。状況の改善をはかった上で矯正治療を開始していきます。
■トラブル③歯茎周辺のしみるような痛み
矯正治療をはじめていくと知覚過敏になる場合があります。その原因は主に3つあります。
1つ目を説明していきます。矯正治療は、当然ですが歯を適正にならべていきます。
治療前は歯が重なってしまっていたものもキレイに並んできます。
歯のズレが原因で歯茎の盛り上がりなどが発生しているケースもありますが、これらも改善してきます。
盛り上がっていた歯茎が改善することで、これまで覆われていた部分が露出してきます。
露出した部分が空気に晒されることで知覚過敏になる場合があるのです。
ただし、この場合の歯茎の下がりは正常な状態なので、問題はありません。
2つの目の原因については、口の中に汚れが溜まることでおきる場合があります。
とくにワイヤー矯正の場合には、歯ブラシのしにくさがあるので、汚れがたまりやすくなります。
汚れからバイ菌がたまりやすく、そこから酸を発生させます。これにより、歯が溶けることで凍みる場合があるのです。
3つ目の原因についてです。歯を矯正すると歯並びも変わりますが、噛み合わせも大きく影響がでてきます。矯正治療は分かりやすい歯並びという見た目だけに目が行きがちですが、重要なのは噛み合わせがしっかり合っているかです。詳細は以下で記載していますので、ご覧下さい。
噛み合わせが変化すると、歯にかかる負担も変わってきます。より強く当たってしまう歯も出てくることで、知覚過敏になることがあります。
参考論文
・知覚過敏の対策
口の中の汚れも原因の1つなので、やはり歯ブラシを中心としたセルフケアが大事になります。
バイ菌が酸を発生することで、歯を溶かすため原因となる汚れを溜めないことで改善がみこめます。
その他、歯茎が下がったことで発生している知覚過敏の症状は時間が経過することで徐々に改善してきます。
多くの場合、歯が慣れてくることで症状がおさまってきます。
いずれのケースについても、症状が気になる場合には塗布する薬がありますので、歯科医院にご相談下さい。
歯磨き粉の中にも知覚過敏用の製品もあるため、試して見てください。
■トラブル③歯茎の下がりについて
歯並びを改善する過程で歯茎が以前よりも下がるケースがあります。
とくに歯周病がもともと進行している方で、すでに歯茎が下がっている場合には、下がったと感じる方が多い傾向があります。
先程もお伝えしましたが、重なった歯が改善することで歯茎の腫れひき、隙間が発生することがあります。
歯並びが改善し、隙間ができたときにはじめて歯茎の下がりに気づき、下がっていると感じてしまうことが多いのです。
・歯茎の下がりについての対策
もともと歯茎が下がっている場合には、改善は難しいケースがあります。
また、歯茎が下がることで、ブラックトライアングルと呼ばれる歯の隙間ができます。
このブラックトライアングルを改善し、見た目よくするためには、歯と歯の間を削る対応をとります。
歯と歯が重なる面を増やすために、歯と歯の接触面である歯冠部分をわずかに削ります。
こうすることで隙間をうめることができ、目立たな程度にブラックトライアングルを解消することができます。
参考論文
阪大歯学誌/上下顎前歯部の前突および叢生を伴う Angle I級成人症例
さきほどお伝えした通り、歯茎の下がりについては、そもそも歯周病が原因となり、骨が減っていることが要因です。
歯周病による骨の減少がなければ矯正治療で歯茎がさがることはありません。
未然に防ぐには、歯ブラシでのケア、歯科医院でのケアがポイントになってきます。
■最後に
矯正治療をおこなっていく上で、メリットはもちろん多いですが、デメリットも当然存在します。
その中の1つが歯茎のトラブル(腫れ・痛み・出血・下がり)なのです。
今回挙げたトラブルに対してもそうですが、他にお話できていない問題についても、お口の中の汚れがおもな要因になります。
どのトラブルの対策をあげても、結局は歯ブラシなどの日々のケアが中心になります。
矯正治療中のトラブル防止以外でも、歯磨きはとても重要です。必ず毎日のケアをおこなっていきましょう。
大前提ですが、歯周病がある場合には、矯正治療をおこなうことができません。
必ず歯周病検査をおこない、問題がある場合には歯周病治療をおこなった上で矯正治療にはいっていきます。
矯正治療中のリスクは他にも様々なものがありますので、もしもより詳しいお話を聞きたいということであれば、当院までご相談下さい。
当院では、歯並びに関しての無料相談をおこなっております。少しでも気になる方は、
以下を参考に御覧下さい。
【歯並び無料相談について】
https://kojimachidental.jp/invisalign/
医療法人社団 恵雄会 麹町デンタルクリニック
インビザライン認定医